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映画「アンダー・ザ・シルバーレイク」ネタバレレビュー | 犬殺しに気をつけろ

どうもー、ガイコツ(@of_za_dead)です。

今回は映画レビュー回です♪


楽しみにしていた2018.10.13公開の映画、

UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)

を観てきました(^_^)


かなり面白く力作だった本作。

本作は、鑑賞する上で結末が超重要なので、未見の方は、ネタバレに注意してください!!

これから観るつもりなのに結末を知ってしまうと全て台無しになってしまいます(^_^;)


それでは、そのへんに注意しながらいってみよ!

ヒウィゴゥ(ง ˙ω˙)ว

カモン(ง ˙ω˙)ว


UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)の作品情報

UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)を観てきました。

原題:UNDER THE SILVER LAKE

製作国:アメリカ合衆国

日本公開日:2018年10月13日

上映時間:140分

配給:ギャガ

映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』公式サイト

UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)の見どころとあらすじ ※ネタバレあり

見どころ:

『イット・フォローズ』などのデヴィッド・ロバート・ミッチェルがメガホンを取ったサスペンスドラマ。ロサンゼルスのシルバーレイクを舞台に、恋した女性の行方を捜す主人公を映し出す。主演を『ハクソー・リッジ』などのアンドリュー・ガーフィールドが務める。謎の美女を『グッド・ドクター 禁断のカルテ』などのライリー・キーオが演じた。


あらすじ:

サム(アンドリュー・ガーフィールド)は、ビッグになりたいという漠然とした夢を抱えて、ロサンゼルスのシルバーレイクにやって来る。だが現実は厳しく、仕事がない彼は家賃すら払えなかった。やがてサムは、向かいに引っ越してきた美しいサラ(ライリー・キーオ)に恋をする。何度かデートするが、ある日彼女は姿を消してしまう。


出典:シネマトゥディ

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UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)のスタッフ・キャスト ※ネタバレあり

スタッフ

監督・脚本 デヴィッド・ロバート・ミッチェル
そうです、あのイット・フォローズの監督。

イット・フォローズは「だからなんなの?」というアイデア一発勝負的な作品ではあるものの、近年のホラーではイチオシしたいほど個人的に好きな作品です。

なので、このアンダー・ザ・シルバーレイクも楽しみにしていました。


製作
クリス・ベンダー
マイケル・デ・ルカ
アデル・ロマンスキー
ジェイク・ワイナー
デヴィッド・ロバート・ミッチェル

キャスト

サム - アンドリュー・ガーフィールド
主役のサムさん役には、アメイジングスパイダーマンで名を挙げたアンドリュー・ガーフィールド。

結構なヨゴレの役ですが、見事に演じきっています。

ヨタヨタ歩いてる感じが好き。


サラ - ライリー・キーオ
エルビスの最初の孫なんだって!!

ランナウェイズに出てたらしいけど、どこにいた?

全く思い出せません。


コミック・マン - パトリック・フィッシュラー
ツインピークス the returnでダンカントッドを演じたパトリックです!

リターンではセリフも余りなく、終盤であっさりと殺されてしまいますが、本作では重要な役どころで出演ですよ。


バルーンガール - グレース・ヴァン・パットン
すごい背が高い女優さん。

彼女もまた、エスコートクラブ「シューティングスター」で働く1人だったんですね。


サムの彼女(?) - リキ・リンドホーム
冒頭から豪快なファックシーンを見せてくれるリキさん。

コメディアンだったりミュージシャンだったりするみたいです。

結構印象に残る役柄と演技でしたが、公式HPでは紹介されていません。

不憫。


サムの友だち - トファー・グレイス

ミリセント・セヴンス - キャリー・ヘルナンデス

アレン - ジミ・シンプソン

トロイ - ゾシア・マメット

シューティングスターの女#1 - インディア・メヌエル

シューティングスターの女#2 - シドニー・スウィーニー

UNDER THE SILVER LAKE(アンダー・ザ・シルバーレイク)の感想 ※ネタバレあり

物語は、家賃滞納のために5日という退去期限を設けられた主人公・サムの、5日間+1日を追っていく形で進行していきます。

1日目…サラと知り合う。

LAのシルバーレイクに住むサム。

夢半ばにして人生詰んだ30代という感じの設定でしょうか、昼間から仕事もしないで酒を飲んだり隣家の女性をのぞき見したり、女友だちとセックスしたりする怠惰な日々を過ごしています。

家賃も払っておらず、ついに部屋のドアに「5日以内に払わないなら退去」という最後通告の張り紙が貼られてしまいます。


そんな最悪の日、偶然知り合った美女・サラ。

サラの部屋でキスまで交わしたところで彼女の(不思議な)ルームメイト(?)たちが帰宅してしまいます。

「明日の午後また来て」とサラが言うので、泣く泣く帰宅するサムでした。

2日目…サラが消える。

約束通りサラの家を訪ねてみたサム。

すると、サラの部屋はもぬけの殻となっています。

部屋の壁には、ひし形を2つ並べたような模様「◇◇」が書かれており、サムは何か陰謀めいたものを感じます。


無人の部屋に忘れ物を取りに来た若い女を尾行すると、昨日サラの家で見た海賊ファッションの男にそれを渡しました。

さらに女を尾行すると、着いたのは人気バンド「イエス」によるホテルの屋上でのライブ。

結局手がかりらしい手がかりは見つからずにしょんぼり帰路につくと、怪しい人影に追われます(真実か、錯覚か…)。

そして、逃げ込んだ藪で、スカンクに分泌液をかけられてしまいます(^_^;)


失踪していた富豪・ジェファーソン・セブンスが、3人の女性と共に焼死体で見つかったとのニュースが流れます。

そしてニュースに映ったのは、サラが被っていた帽子。

サラは死んだのか。


その夜サムは、プールを裸で泳ぐサラの幻をみます。

3日目…コミック・マン

1日目に書店で購入した同人雑誌の作者とコンタクトが取れ、会いに行くサム。

彼、コミックマンは暗号や都市伝説、陰謀論などに精通しており、サラの部屋に描かれていた「◇◇」の意味をサムに教えます。

そしてコミックマンが警鐘を鳴らすのは、「フクロウのキス」という殺し屋。

シルバーレイクの暗部に深く関わっているらしく、その姿は、フクロウのマスクを被った全裸の女性だといいます。


昨日のライブで入手した「食べるチケット」で、イエスのメンバーのソロライブ会場に入るサム。

ここでは、イエスの音源を手に入れたり、曲に仕込まれたメッセージの話を聞いたり、昨日のライブで見かけた風船ちゃんと再会したりしますが、食べるチケットがどうやらドラッグだったらしく、食べすぎたサムは倒れてしまいます。


4日目…シューティングスターの女

母親からの電話で目覚めるサム。

そこは、母が大好きな女優、ジャネット・ゲイナーの墓地の前でした。

サムは帰宅し、昨日手に入れたイエスの音源(よく失くさなかった笑)から暗号を発見・解読しようとしますが、さっぱりわかりません。

なんとなく雑誌をめくると、シューティングスター(日本でいうデリヘルのようなものか)の広告に目が止まります。

そこに載っていたのは、昨日ライブ会場で見かけた女優でした。

電話で彼女を派遣してもらい話を聞くと、ある超売れっ子作曲家のパーティーでサラを見かけたことがあるとの情報を得ました。

5日目…起承転結の『転』は怒涛の展開

曲に隠されたメッセージをついに解明したサム。

そのメッセージの内容を実行すると、サムの前に「ホームレスの王」と名乗る者が現れ、サムは洞窟へ導かれます。

1人そこを進むと、辿り着いたのは広大な防空壕でした。


早速コミックマンに意見を求めようと家を訪れると、そこには警官が。

警官に、彼<コミックマン>は自殺したと告げられるサム。

そんなはずはない。サムは部屋に忍び込みます。

防犯カメラの映像を確認すると、そこにはフクロウのキスの姿が!


サムは、暗号が仕込まれていた曲について調べるためイエスのボーカルを探し出し、荒っぽい方法で問い詰めます。

すると、件の曲の作者は別にいることが判明。

ソングライター(そのまま)」です。


シューティングスターの女たちの協力を得てソングライターの屋敷を突き止め、乗り込むサム。

そこには年老いたピアノ弾きが待っており、歴史上のほとんどのヒット曲の作者は自分であると嘲笑します。

ジョーン・ジェットの「アイラブロックンロール」やフーの「ピンボールウィザード」、「ラバンバ」、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク〜」もピアノで作曲したと言って弾いてみせるソングライター。

そしてサムを銃撃。

激昂したサムは、ギターでソングライターを撲殺してしまいます。

ここでは、現実と妄想の限界が極めて曖昧です。

理解の難しい場面。


その夜、自室の部屋の窓からコヨーテを見つけるサム。

「コヨーテと1対1で向き合ったら、必ずその後を追え」というセリフを思い出し、パジャマのまま追いかけます。

するととあるパーティーに迷いこんだサムは、そこで、ジャネット・ゲイナーの絵画を見つめる女に出会います。

彼女は死んだ富豪の娘、ミリセント・セヴンスでした。


その後、彼女と貯水池に行ったサムは、セヴンスに「誰かに尾行されている」と、銀のブレスレット(サラが着けていたもの!)を託されます。

そして、どこからともなく銃撃され、セヴンスは死んでしまいます。

セブンスは、サムがはじめてマスターベーションしたという、あのPLAYBOYの表紙と全く同じアングルで貯水池に沈んでいくのでした。

6日目…サラ失踪の真相 ※特にネタバレ注意

セヴンスに託されたブレスレットに書かれた文字は、どう見ても暗号。

コミックマンの家に忍び込んだ際に持ち帰ってきた、「全ての謎の鍵がこの中にある」というおまけ付きシリアルと、NES版ゼルダの伝説の攻略マップによって暗号を解読したサムは、その場所<マウント・ハリウッド>に向かいます。

そこには小さな小屋があり、1人の男と3人の女がいました。

彼は富豪で、俗世を疎み、女たちと別の世界へ上昇する順番を待っているのだと言います。

そう、これが結論でした。


サラは、富豪・ジェファーソン・セヴンスと、2人の女とともに、現世よりも高みの世界へ上昇するために(つまり、死ぬということ)、サムが見たあの防空壕のような施設に行ってしまっていたのでした。

彼らの焼死体とは、偽装されたものだったのです。


ビデオ電話でサラと話すことを許されたサム。

サムに、サラは自分が間違った選択をしたと思うか?と訪ねます。

「うん、多分ね。」と応じるサム。

サラは涙をひとしずく流し、「もう出られないから、限りある生を楽しむ」と告げ、電話を切りました。

サムはと言うと出されたお茶に一服盛られており、昏倒してしまいます。


目覚めると、ホームレスの王に監禁されていたサムですが、問答の末、きつく口止めされた上で生かして解放されます。

帰宅したサムは、退去期限の迫る部屋で、母から送られてきたジャネット・ゲイナーが出演している映画のビデオを見ながらサラを思います。


結局サムは、退去期限ギリギリで、いつものぞき見していたおばさんの家に転がり込むのでした。

ポップカルチャー

監督であるデヴィッド・ロバート・ミッチェルによると、この物語のテーマの1つは、映画や音楽、雑誌などの「ポップカルチャー」だといいます。

確かに劇中では、サムの部屋を始めとして、いたるところにたくさんの映画や音楽、雑誌、ゲームなどが直接的、間接的に登場します。


そして、我々が普段愛し親しんでいるこれらポップカルチャーの中には、なにか隠された意味があるのではないか、という視点から物語を展開させていきます。


映画で言えば、隣のトップレスおばちゃんを望遠鏡でのぞき見するのはヒッチコックの「裏窓」ですね。

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物語自体もヒッチコックの「めまい」のオマージュとも言えるかもしれません。

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ソングライターが弾いてみせた数々の楽曲ですが、わたしにはそのごく一部しかわかりませんでした(^_^;)

犬殺し

シルバーレイクでは、最近「犬殺し」事件が多発しているそうです。

冒頭から、「犬殺しに気をつけろ」という落書きがカフェのガラスにスプレーされてましたね。


でも結局、犬殺しってなんだったんだろう!?

エンドロールでも、延々と「犬殺し」を思わせるイラストが挿入されていました。

犬殺しは誰の仕業だったのか、そしてそれはなにかを象徴しているのか。

この物語における、「犬殺し」の持つ意味って?


クライマックスでサムが監禁されているシーンで、サムが、ポケットになぜ犬用ビスケットが入っていたのかを詰問されます。

これにはちゃんとした理由があったのですが、もしかして、サムが犬用ビスケットを持っていたことで、サムが犬殺しだというミスリードを誘おうとしてたのか?

そうではないことがわかって、サムは解放されたのか?

ホームレスの王が言った「サムの失敗」とは、王もサムが犬殺しだと勘違いしていたということなんだろうか?

この辺の解釈は、見返してみないとなんとも言えませんね…。

リンチ風?

この映画にはデヴィッドリンチのテイスト、要素が感じられると、公開前からかなり言われていました。

手元にあるパンフレットにも、「マルホランドドライブに連なるLA奇譚の系譜」なんて書かれています。


確かに、時折挿入される意味不明なシーン(女性たちが犬のように吠え立てたり、ローラパーマーを彷彿とさせる全裸のライリー・キーオの幻(この幻の彼女も犬のように吠えます)を見たり、ソングライターの屋敷に向かっていく風景が絵画だったり)にはリンチっぽさを感じるかもしれませんし、ソングライターの撲殺シーンの解釈は相当に難しく、そういったところからもリンチの影を感じ取る方もいらっしゃるかもしれません(そこで手に入れた銃をその後最後まで携帯していたことで、さらに解釈が難解になる)。


ただ、リンチフリークのわたくしガイコツには、そこまでリンチっぽさは感じませんでした。

リンチのシュールは、もっとねじれた、もっと狂ったシュールですから。

とはいえ、監督本人が言うように、「LAを舞台にしたフィルム・ノワールへの愛情」はひしひしと感じましたね。


まとめ…現代のポップカルチャーにのせて、陰謀と暗号の隘路に迷い込む2時間の旅

いやー、面白かったです。


鑑賞直後は難解ではないと感じていた本作ですが、実際にレビュー記事を書いてみたらいやいや難解難解、難解ホークス。

話の本筋がわかりやすいことによって、かえって細部の謎がとらえどころがなくなっているというか。

観に行ってよかった、大変面白い作品でした。

ミステリ好きの方に特におすすめしたい一本でした♪


映画って、本当に良いものですね♪では今回はこの辺で。バイキュー☆