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ソナチネをネタバレレビュー|故・大杉蓮in北野映画を解説。ソナチネの意味は…

どうもー、ガイコツ(@of_za_dead)です。

今回は映画レビュー回です♪

 

今回ご紹介するのは、俳優の大杉漣さんが心不全で亡くなり、

 

www.sankei.com

 

その価値が見直されている、北野武監督の1993年公開の映画、

ソナチネ

です。

 

今回の映画レビューは、故・大杉漣さんを偲びつつレビューしていきたいと思います。

 

 

監督・脚本:北野武

北野武監督

 

言わずとしれた世界の北野です。近年でもアウトレイジシリーズ(わたくしガイコツは、あまりのマンネリ気味にあまり好きになれない映画です…)など、ヒット作を連発していますね。

この「ソナチネ」は、北野武名義では4本目の作品となります。

1作目の「その男、凶暴につき」(1989年)はものすごいインパクトの作品でしたし、ソナチネのあとには名作「キッズ・リターン」を撮っています。

ソナチネは、北野武が才気あふれる頃、まさに全盛期に撮った作品の一つと言えるんではないでしょうか。

 

音楽:久石譲

今ではスタジオジブリ作品ですっかりおなじみの久石さんが音楽を手がけています。

本作品で、日本アカデミー賞音楽賞を受賞しました。

 

製作:奥山和由

キャスト:ビートたけし、国舞亜矢、大杉漣

配給:松竹

公開:1993年6月5日

上映時間:93分

youtu.be

 

映画 ソナチネのあらすじ 

沖縄を舞台に、二つの組の間で繰り広げられている抗争の助っ人として送られたヤクザ幹部の男の結末を描く。

組長からの命令により、沖縄にある中松組の抗争の助っ人として舎弟たちと共に沖縄へと出向いた村川。

しかし、抗争は収まるどころかますます悪化。事務所を爆破された村川たちは、海岸沿いの空き家へと身を隠すことになる。
<allcinema>

 

映画 ソナチネのキャスト

  • 村川(北島組村川組組長) - ビートたけし

キャストとしてはビートたけし名義で主演をつとめます。

 

  • 片桐(北島組村川組幹部) - 大杉漣

大杉漣さんはソナチネのオーディションを振り返り、「2秒だけ見てはい、お帰りください」と言われて帰らされたのになぜか起用されたというエピソードを語ったことがあります。

www.hochi.co.jp

大杉さんは舞台を中心に活躍する中、オーディションで見いだされて出演した93年の北野武監督(71)の映画「ソナチネ」での暴力団幹部役で注目された。

番組では99年1月「はなまるマーケット」に出演時の「ソナチナ」のオーディション秘話を語る姿を放送。

 

当時、大杉さんはオーディションについて

「はじめてオーディションみたいの受けたんですけど、オーディション行ったのはいいんですけど、会場に入ってスタッフの方がいらしてボクのことをチラッと2秒ぐらいしか見ないんですよね。

2秒見て、はいお帰りくださいってスタッフの方がおっしゃるんですよ。

普通、オーディションなら何かやったりしゃべったりするじゃないですか。そういうの一切なくて。

非常に変則的なオーディションだった。何が起きたのかっていう感じでした。

ドアを開けてすぐ閉めたって感じですから。

たけしさん、確実にそこにいらしたから、間違いはなかったと思うんですけど」と明かし、「2日後にお電話いただいて、あんたでいくよってお電話いただいたんですけどね。なぜボクなのか未だに分かりません」と振り返っていた。

 

有名なエピソードのようですね。

 

さらに、大杉さんの出番は当初最初だけだったらしいのですが、大杉さんの演技を観て感じたものがあったようで、脚本を書き直してロケの後半まで出演してもらったということです。

www.asahi.com

 

運命の出会いというのは、こういうものを言うんでしょうね。改めて、大杉さんの才能を感じます。

 

本作では、生真面目なヤクザ(?)を好演します。借金取り立てのシーンは、大杉さんのアドリブだそうですよ。

 

 

  • 幸 - 国舞亜矢

国舞亜矢

村川たちに深く関わる重要な役どころ。

現在では芸能界を引退しているようです。

 

 

  • 良二(中松組組員) - 勝村政信

「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」でたけしさんと接点ができ、知名度をも得た勝村さん。その後オフィス北野に所属します。

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それから今まで、テレビ、映画、舞台と大活躍しています。

たけし作品としては、2015年の「龍三と七人の子分たち」に、主人公龍三の息子役で出演されています。

映画「龍三と七人の子分たち」オリジナルサウンドトラック

 

 

  • ケン(北島組村川組組員) - 寺島進

故・松田優作さんの監督作品「ア・ホーマンス」で映画デビューした、おなじみのコワモテ俳優。

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仮面ライダー電王のモモタロスは、寺島さんのキャラを参考にしているという面白い逸話もあります。

たけし作品には、「その男、凶暴につき」「あの夏、一番静かな海。」「みんな〜やってるか!」「キッズ・リターン」「HANA-BI」「BROTHER」「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」などに出演し、ほとんど常連のようになっています(笑)。

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  • 北島(北島組組長) - 逗子とんぼ

 

  • 高橋(北島組幹部) - 矢島健一

独特の存在感を放つ名脇役の矢島さん。本作では重要な役どころで出演です。

たけし作品には、この他「HANA-BI」「龍三と七人の子分たち」にも出演しています。

 

  • 殺し屋 - 南方英二

元チャンバラトリオの故・南方さんは殺し屋役での出演!笑

 

  • 中松(中松組組長) - 小池幸次
  • 上地(中松組幹部) - 渡辺哲
  • 幸の恋人 - 松岡一開
  • 金本(マージャン店店主) - 水森コウ太

 

  • 津田(喫茶店のウェイター) - 津田寛治

若き日のツダカンさんも出てましたねー!大好きな役者さんです。

アングラな役からキャッチーな役までなんでもこなすオールラウンダーなイメージ。名優です。

 

 

映画 ソナチネの感想 ※ネタバレあり

ストーリーは、今となってはありがちな、罠にはめられた主人公が復讐を果たすというシンプルなもの。

あらすじだけでは平坦に聞こえがちなこの物語を、キレッキレなこの頃の北野監督が、独自の感性で素晴らしい作品に仕上げています。

 

広域暴力団・北島組の友好組織・中松組が、沖縄の阿南組と抗争をしています。

そこで北島組組長の北島とその幹部の高橋は、北島組傘下の村川組組長の村川に、「手打ちになるだろうから何人か組員を連れて、中松を助けろ」と命令します。

 

これが中松組と村川組を陥れるための罠だったのですね。

村川も、組が弱体化するきっかけにもなりかねず反抗しますが、親の命令は絶対。しぶしぶ沖縄へと派遣されていきます。

 

沖縄に到着すると、手打ちに向かうはずの抗争は全く鎮静せず、かえって激化していきます。

というか一方的に襲撃される。

事務所は爆破されるわスナックでは銃撃されるわで多数の組員を失い、村川たちは市街地を離れて沖縄の片田舎にある中松組の隠れ家ヘ避難します。

 

そして村川たちは、暇を持て余して遊び暮らすようになります。

 

ロシアンルーレットや落とし穴遊び、紙相撲に花火戦争…まるでヤクザの夏休みです。

 

ここで北野監督は何を描きたかったのか?それは、村川の狂気と、同居する純粋さでしょうか。

平和な「ヤクザの夏休み」を通して、村川は童心にかえっていくようです。

 

また、この束の間の平和の間に、レイプ魔から助けた女・幸とも接近します。

村川の暴力性の裏にある純粋さに惹かれた幸は、村川たちと行動をともにするようになります。

 

やがて、抗争が手打ちになったはずの中松組が何者かの手によって壊滅させられ、村川たちも襲撃されます。

怪しいのは身内の高橋。高橋が沖縄に来ていると知った村川は、高橋が宿泊しているというホテルを訪れます。

 

ここで、エレベーターで鉢合わせの名シーン。このシーンは圧巻。

高橋が、中松や村川の仲間を消した殺し屋と一緒にいるのを見て全てを悟った村川。

エレベーターという密閉された空間で、激しい銃撃戦になります。

ガオンガオン!!!と銃声が響くと、村川はしぶとく生き残っていました。

 

高橋を拉致した村川は高橋に激しい拷問を加え、高橋は真相を白状します。

 

北島組は、北海道との抗争に備えて阿南組と手を組もうと考えていたのです。

そこで、阿南組と抗争中の兄弟分・中松組が邪魔になった。

もういっそのこと中松組を潰してしまって阿南組と手を組もうというわけです(そんなことをしなくても、北島組が中松と阿南の間に入って仲裁すればいいのに…というツッコミはなし)。

 

都市開発の恩恵にあずかって最近羽振りの良かった村川たちも気に入らなかったので、一緒に消してしまおうという計画。

なんて非道な親分さん…笑

 

真実を知った村川は、阿南組との会合にやってきた北島を襲撃。

中松組組員の生き残りにホテルの電源を落とさせると、真っ暗闇の中で村川のマシンガンが火を吹きます。

久石譲さんの美しい音楽をバックに、暗闇の中で明滅するマシンガン。

激しくも美しく、そして悲しいシーン。

 

ここでも生き残った村川は隠れ家に向かいます。そこでは幸が待っている。

 

村川は結局途中で車を停め、拳銃で自分の頭を撃ち抜いて物語を終わらせました。

個人的にはいいラストだと思っています。

 

まとめ…それぞれの”ソナチネ” 

「ソナチネ」とは、クラシック音楽の世界で良く用いられる用語で、現代では、わかりやすく演奏し易い「小さなソナタ」のことを指すそうです。

「ソナタ(奏鳴曲)の小さいものである」という考え方から「小奏鳴曲」と訳されます。

 

なんでこの映画のタイトルが「ソナチネ」なのかは、今でも良くわかっていません。というか、自分なりの解釈が見つかっていません。

 

今後の人生でも何度も観ることになる名作ですから、いずれ自分なりに納得できる答えが見つかるかもしれません。

 

これを読んでくださったみなさんも、それぞれの解釈が見つかる(見つかっている)とより良いのかなと思います。

 

初期北野作品にして現在においてまで通ずる北野ワールドが完全に完成された映画、ソナチネ。

紛うことなき邦画の傑作です。

 

R.I.P大杉漣。では今回はこの辺で。