※本記事は、2019年11月15日に更新しました。
どうもー、ガイコツ(@of_za_dead)です。
今回は映画レビュー回です♪
今回観たのは前後編の2部形式でリメイクされ評判も上々の
IT イット(1990年オリジナル版)
です。
スティーブン・キング原作の古典ホラーで、今回のリメイクによってこちらのバージョンも再び脚光を浴びています。
では早速見ていきましょう☆
ヒウィゴゥ(ง ˙ω˙)ว
カモン(ง ˙ω˙)ว
IT イット(1990)
原題:IT
製作国:アメリカ合衆国、カナダ
日本公開:1991年
上映時間:187分
IT イット その見どころ※ネタバレあり
スティーヴン・キングのホラー小説の映画化。
静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれます。
スタッフ
- 監督・共同脚本:トミー・リー・ウォーレス
- 脚本:ローレンス・D・コーエン
- 音楽:リチャード・ベリス
キャスト ※ネタバレあり
- ペニーワイズ/ティム・カリー
ボサボサの赤髪に赤い鼻といった、ピエロのような出で立ちの悪魔。
対象を威嚇・捕食する際は鋭い牙を剥き出します。
ある周期を持ってデリーに現れ、その都度事故や天災に見せかけては住人を襲っていました。
リメイク版のペニーワイズを演じたのはビル・スカルスガルド。
ルーザーズ(負け犬)クラブ
この映画『IT』の魅力はホラー要素にとどまらず、回想で描かれるスタンド・バイ・ミー的青春譚も大きな見どころです。
そんなルーザーズクラブのキャストを見ていきましょう。
- ビル・デンブロウ/リチャード・トーマス(大人)、ジョナサン・ブランディス(少年)
弟ジョージーがペニーワイズの犠牲になってしまうのが物語の重要なキーで、リメイク版でもしっかりと描かれています。
大人になったビルは売れっ子映画脚本家・ホラー作家になっています。既婚です。
子供の頃は吃音症(どもり)だったという過去もあり、大人になった今でも、ペニーワイズの恐怖で吃音症が出てしまう場面も。
リメイク版では、少年時代をジェイデン・マーテル、大人時代を『X-メン』シリーズなどの演技派・ジェームズ・マカヴォイが演じています。
- ベバリー・マーシュ/アネット・オトゥール(大人)、エミリー・パーキンス(少女)
クラブの紅一点。
裕福とはいえない家庭で暴力的なパパと暮らしていました。
リメイク版では、性的虐待を受けていると思しき描写も。
パチンコの名手で、メンバー中一番の腕前。
リメイク版では、少女時代をソフィア・リリス、大人時代を『ゼロ・ダーク・サーティ』などで有名なジェシカ・チャステインが演じています。
- マイク・ハンロン/ティム・リイド(大人)、マーロン・テイラー(少年)
大人になってからも、図書館司書として一人故郷デリーに残って暮らしていました。
事件現場でペニーワイズが戻ったことを悟り、30年前の約束を果たすべくクラブのメンバーに招集をかけます。
古い写真を集めるのが趣味で、彼の集めた資料がIT(ペニーワイズ)の正体に迫るきっかけにもなります。
リメイク版では、少年時代をチョーズン・ジェイコブズ、大人時代をイザイア・ムスタファが演じています。
- ベン・ハンスコム/ジョン・リッター(大人)、ブランドン・クレイン(少年)
現在の職業は建築家。
少年時代は太っておりベヴァリーに思いを寄せていましたが、大人のベンはすっかりスリムになって、イケメンのプレイボーイになっています。
リメイク版では、少年時代をジェレミー・レイ・テイラー、大人時代をジェイ・ライアンが演じています。
- スタンリー・ユリス/リチャード・メイサー(大人)、ベン・ヘラー(少年)
ユダヤ系で天才肌。
ほんとは一番のビビリでした。
リメイク版では、少年時代をワイアット・オレフ、大人時代をアンディ・ビーンが演じています。
- エディ・カスプブラク/デニス・クリストファー(大人)、アダム・ファライズル(少年)
ちびのエディは喘息持ちで弱々しく、吸入器が手放せないグーニーズキャラ。
過保護な母に守られていますが、ここぞという所で勇気を出し、ペニーワイズ相手に活躍します。
リメイク版では、少年時代をジャック・ディラン・グレイザー、大人時代をジェームズ・ランソンが演じています。
- リッチー・トージア/ハリー・アンダーソン(大人)、セス・グリーン(少年)
おしゃべりで陽気なお調子者。
ムードメーカーにしてトラブルメーカーです。
大人になってからは俳優・コメディアンとして成功しています。
リメイク版では、少年時代をフィン・ウォルフハード、大人時代をビル・ヘイダーが演じています。
IT イットのあらすじ ※ネタバレ注意
1990年のメイン州デリーで子供を狙った連続人事件が発生します。
図書館司書のマイク・ハンロンは、事件現場で古い写真を発見。
その写真は、物語冒頭でいきなり被害に会う男の子、30年前にペニーワイズに殺害された、友人ビルの弟のものでした。
マイクはペニーワイズが帰ってきたことを確信し、かつてペニーワイズと戦った昔の仲間(ルーザーズクラブ)たちに連絡し、再び会う約束を取り付けます。
30年前に起きた忌まわしき事件と、その再来。
ルーザーズクラブの、30年越しの戦いが始まるのでした…。
ホラー版『スタンド・バイ・ミー』としての本作
物語前半は、登場人物たちの過去と現在が交互に描かれながら、約束を果たすべく1人また1人と故郷に集結していく熱い進行で、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』などと言われることもあります。
それは、子どもたちが死体探しという旅路を経て「大人になる」という構成のスタンド・バイ・ミーと本作の構造が似ているからだと思われます。
スタンド・バイ・ミーでは、小説家となった主人公のゴーディが、過去の冒険の仲間、クリスが刺し殺されてしまったことから夏の日の冒険を思い起こす、という回想録の形式を採っていました。
本作も同様で、まず大人時代の彼らが描かれ、街に再度ペニーワイズが現れたことを察知したことによって過去のペニーワイズ撃退を思い起こす、という構成になっています。
スタンド・バイ・ミーは、12歳の子どもたちが「線路の向こう側」という異界に旅立ち、試練としての死への対峙を行い、街に帰ってくるという通過儀礼の物語である、というのが多くの論評の帰結です。
本作もまた、子どもたちが自らの中の恐れを文字通り「倒す」ことで、恐れを克服し、大人になる作品であるといえそうです。
つまり、ペニーワイズは「恐れさえしなければ弱いだけ」の存在という解釈もできるかもしれません。
リメイク版との違い
本作は、187分という尺の長さもあってか、リメイク版では前後編形式で撮られましたが、これには一長一短あると思いました。
マイナスポイントとしては、本作がとった手法「過去と現在を行き来しながら物語が展開する」の良さが完全には踏襲できなかったことがあげられます。
具体的には、30年前のジョージー殺害だけをまず描き、その後一気に現代へ飛んで、要所要所で30年前の描写をはさんでいくことで、様々な謎が小出しに、緊張感をもって少しづつ明かされていく良さ、でしょうか。
これがITという物語の魅力の一つだと思っています。
リメイク版前編では、後編における大人になったルーザーズクラブのキャストを隠す必要があったためか、大人時代が全く描かれませんでした。
リメイク版後編ではこの条件から開放され、少年時代のシーンも挟まれるようですが、少年時代のエピソードは前編で十二分に描かれましたので、上述したような効果はそれほどは望めないかもしれません。
逆に前後編形式の良い点としては、物語が単純化され、わかりやすくなっていることでしょう。
前編で少年時代のルーザーズクラブの事件がまず全て描かれ、後編では大人になったルーザーズクラブが30年前の遺恨を晴らすという、シリーズ物の続編を観ているような地続きのわかりやすさがありますよね。
1990年版とリメイク版、どちらが勝っているかというのは一概には言えませんが、この違いを意識しながら観ていくとさらに楽しめるかもしれません。
IT イット(1990)で映像化されなかった問題のシーン
現在よりも自由度がずっと高かった1990年当時の映画界ですが、それでもスティーブンの原作「IT」を完全には映像化できませんでした。
原作にあって映画にない描写に、非常に重要なものが2点ありました。
その描写とは子どもたちが大人になるための通過儀礼的なイベントで、インディアン部族の儀式を真似たものです。
- 大人への通過儀礼① 麻薬
まず1つは、ペニーワイズの正体を知るために、全員で大麻を吸うというもの。
この儀式によって、彼らは幻覚を通してペニーワイズの正体を垣間見ます。
- 大人への通過儀礼② セックス
もう1つは更に衝撃的。
ペニーワイズを倒した子ども時代のルーザーズクラブですが、道に迷い用水路から抜け出せなくなってしまいます。
そこで、自分たちの心をつなぎ合わせ結束するため、また真の意味で彼ら自身が大人になったことを示すためのシーンとして、ベバリーがクラブの全員と、一人ずつ順番にセックスしてしまうというもの。
ギクッとするシーンです。
↓問題のシーンはスティーブン・キングの原作で確認できます。↓
ともあれ、こうした通過儀礼によってルーザーズクラブは大人になり、結果として彼らは街を出ることになりますが、ヘンリーをはじめとするいじめっ子不良グループは自分の中のペニーワイズと向き合うことができず、その恐怖に取り込まれてしまいました。
彼らは、スタンド・バイ・ミーでいうならエース・メリル。
つまり、儀礼を終えなかった子どもということができるでしょう。
まとめ…IT イットはホラー青春大河
いかがだったでしょうか。
「IT」を観ると、自分まで青春時代に引き戻される感覚があります。
それは、本作が良質なホラー映画であると同時に、色褪せない青春譚でもあるからではないでしょうか。
リメイク版のIT イット前後編も、機会がありましたらレビューしてみたいと思います。
映画って、本当に良いものですね♪では今回はこの辺で。バイキュー☆