どうもー、ガイコツ(@of_za_dead)です。
今回は映画レビュー回です♪
今回観たのはあのジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画、
デッド・ドント・ダイ
です。
ジムの作風からは、ソンビ映画などおよそ想像もできません!笑
いったいどんなゾンビ映画に仕上がっているのか!?早速見ていきましょう☆
ヒウィゴゥ(ง ˙ω˙)ว
カモン(ง ˙ω˙)ว
デッド・ドント・ダイ(THE DEAD DON’T DIE)
原題:THE DEAD DON’T DIE
製作国:スウェーデン/アメリカ合衆国
日本公開日:2020年6月5日
上映時間:104分
配給:ロングライド
デッド・ドント・ダイ その見どころ※ネタバレあり
見どころ:
『パターソン』などのジム・ジャームッシュが監督を務めたゾンビコメディー。町にあふれ返ったゾンビと戦う人々を描く。ジャームッシュ監督作『ブロークン・フラワーズ』などに出演してきたビル・マーレイをはじめ、『スター・ウォーズ』シリーズなどのアダム・ドライヴァー、『少年は残酷な弓を射る』などのティルダ・スウィントン、『ボーイズ・ドント・クライ』などのクロエ・セヴィニーらが共演する。
出典:シネマトゥディ
スタッフ
- 監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
ストレンジャー・ザン・パラダイス、ダウン・バイ・ロー、デッドマン、コーヒー&シガレッツなど、比較的淡々と物語を描いていく手法を好む監督、ストーリーテラーだと感じています。
最近観た映画は『パターソン』。詩をたしなむバス運転手のさりげない日常を描いていて、最後まで何も起きないジム節全開な映画でしたが、なぜか心に残りました。
美しく撮りあげたからかな。
- 製作:ジョシュア・アストラカン
- 製作・音楽:カーター・ローガン
キャスト ※ネタバレあり
- ビル・マーレイ(クリフ・ロバートソン)
言わずと知れた名優で、ただそこにいるだけで面白い稀有な人。
SF映画としてはやっぱりゴーストバスターズで有名ですが、ゾンビ映画としては、ゾンビランドですよね。
『マーレる』という、笑いなくしては語れない言葉も生まれました 笑
ジム作品では『コーヒー&シガレッツ』や『ブロークン・フラワーズ』など数作に出演。
本作では、物語の舞台・セーンターヴィルの警察署長役を演じています。
- アダム・ドライヴァー(ロニー・ピーターソン)
スターウォーズの新三部作でカイロ・レン役を演じた俳優さんです。
ジムとは、『パターソン』でタッグを組んでいます(今回の役名が”ピーターソン”なのが 笑)。
何も起こらない系の作品ですが、非常に良かったですね。
本作では、ビル演じるクリフの相棒という重要な役に抜擢。
ジムに気に入られたんでしょうね。
シリアスな顔つきながら、とぼけた演技が非常に似合っていて面白いです(これも監督の狙いか)。
- ティルダ・スウィントン(ゼルダ・ウィンストン)
どんな役でもこなしてしまう怪女優。
MCUではドクター・ストレンジの師匠として登場し、グランド・ブダペスト・ホテルでは殺されたおばあちゃんを演じる。
リメイク版サスペリアの役も強烈でした。
ジム作品では、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』など数作に出演しています。
好きな映画のそこかしこに現れる彼女も、もう還暦なのか…。
本作では、葬儀屋の社長として街に越してきた謎の多い女性を演じています。
- クロエ・セヴィニー(ミンディ・モリソン)
ヴィンセント・ギャロの『ブラウン・バニー』、あのシーンが強烈すぎて絶対忘れられない女優さん。
最近ではマイケル・ファスベンダー主演の『スノーマン』に出演していました。
本作では女性巡査の役柄。
普通の役柄を個性的に演じています。
- スティーヴ・ブシェミ(フランク・ミラー)
みんな大好きブシェミさん。
レザボア・ドッグスのMr.ピンク役で大好きな俳優さんです。
ジム作品では、『デッドマン』や『コーヒー&シガレッツ』に出演していました。
最近では、スターリンの葬送狂騒曲でフルシチョフ役をやっていましたね。
本作では、白人至上主義の嫌われ農夫役を演じています。
- ダニー・グローヴァー(ハンク・トンプソン)
リーサルウェポンシリーズの、メル・ギブソンの相棒役で有名な俳優さん。
キャリアが長く、色んな映画で見かけます。
B級映画にも出たりしていますね。
ジム作品には今回初出演。
非常に気のいい金物屋の店主という役柄です。
- ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ボビー・ウィギンズ)
ツインピークス・ザ・リターンにおける「おれは…中卒だ!!」の名(迷?)シーンで、ファンにはお馴染みのケイレブさん。
ゲットアウト、スリービルボードと話題の映画に立て続けに出演し、いい役をもらっています。
まだまだブレイクしそう。
ジム作品には初出演。
雑貨屋を営む、ホラーオタクの青年役を演じています。
- サラ・ドライバー(コーヒー・ゾンビ)
映画監督・プロデューサー・女優。
ジムとは公私にわたる長年のパートナー関係で、ジム作品には4作目の出演になります。
本作では、最初に現れる2体のゾンビのうち1体を演じます。
- セレーナ・ゴメス(ゾーイ)
女優にして人気ミュージシャン。
ジム作品には初出演になります。
旅行中にセンターヴィルに立ち寄った、都会の若者を演じています。
- トム・ウェイツ(ハーミット・ボブ)
やっぱり出てきたトム・ウェイツ。
ジムの映画に多数出演しており、もはや盟友みたいな感じになってる気がします。
わたしは、俳優としての彼を知るずっと前から、彼の音楽が大好きでした。
"酔いどれ詩人”と呼ばれたトム・ウェイツ。
市場で競りやってる魚屋さんのようなダミ声がたまりません。
役者としても素晴らしいです。
本作では、街を俯瞰して観察している、悟りを開いたような感じの世捨て人を演じています。
- イギー・ポップ(コーヒー・ゾンビ)
説明不要、デトロイト産サイケロックの申し子、ストゥージズのヴォーカルです。
イギーもまた、ジム映画にはちょこちょこ出ています。
デッドマンは必見。
本作では最初に現れる2体のゾンビのうち1体を演じています。
- RZA(ディーン)
ヒップホップグループ・ウータン・クランのリーダー。
役者業も結構こなしていて、ジム作品には『ゴースト・ドッグ』、『コーヒー&シガレッツ』に続いて3作目の出演。
本作では、配送ドライバーの役を演じています。
デッド・ドント・ダイのあらすじと感想 ※ネタバレ注意
ロバートソン署長(ビル・マーレイ)、ピーターソン巡査(アダム・ドライヴァー)、モリソン巡査(クロエ・セヴィニー)が見守るのどかな田舎町センターヴィルで、死者が墓場から次々とよみがえる。ゾンビは生前の活動に引き寄せられるように町をさまよい、時間を追うごとに増殖していた。三人の警察官や葬儀屋のゼルダ(ティルダ・スウィントン)、住民たちは、生き残りを懸けてゾンビの大群に立ち向かう。
※出典:シネマトゥデイ
注目のジム・ジャームッシュゾンビ映画ですが、いつも通りのジム・ジャームッシュでした 笑
オフビートとよく言われる作風そのままに、ゾンビというジャンルムービーをぶち壊しています。
個性的なキャラクターたちの間の抜けた会話劇に、脱力させられるのを存分に楽しみました。
意味もなくメタ要素をもたせた構成
序盤のシーンで、ラジオから流れる『THE DEAD DON’T DIE』を聴いて「何故かこの曲を知っている気がする…」とつぶやくクリフに、ピーターソンが「テーマソングだから」と返すシーン。
ダイナーで死体を発見した際、クリフがピーターソンに「どう思う?」と聞くと、さして考えずに「ゾンビかと。」と返すシーン。
また、「警察を辞めようと思っていた、2年前に」というクリフに「なぜですか?」と質問したピーターソンでしたが、それに対して「それはアドリブか?」と逆に質問したシーン。
なんとなくメタフィクションの要素を匂わせつつ最後まで進んでいくのかなと思いきや、終盤で、いきなり舞台をひっくり返してしまいます。
「なんでお前はそんなに落ち着き払ってるんだ!、「まずい結末になる(劇中ピーターソンが何度もつぶやくセリフ)」と何で言えるんだ!」とピーターソンにキレるクリフ。
それに対し、ピーターソンは「台本をもらったから」とはっきり言ってしまうのです。
しかも、そう言わしめたことは後の展開にはまったく活きず、最後に2人は普通にゾンビに殺されてしまいました。
また、ティルダ扮するゼルダが円盤に乗って去ってしまうシーンでは、「これは台本には無い」とピーターソンに言わせていますが、それが物語に何の影響も及ぼしていません。
つまり、このメタ展開には何の意味もないんです。
ここがジム・ジャームッシュらしさであり、従来のファンの間でも賛否両論分かれるところかもしれません。
ジャームッシュ流ゾンビ
本作に登場するゾンビは、生前の生活や好きだったものに執着しています。
この設定事態は非常に良くあるもので、パッと思い出せるだけでも「ゾンビーノ」や「アイアムアヒーロー」などでみられました。
ただ、ジャームッシュゾンビは”ぼやく”んですよ…笑
「コーヒー」「シャルドネ」「ギター」などまではまだ普通な感じですが、「wifi」や「Bluetooth」などとつぶやきながら徘徊するゾンビには思わず吹き出してしまいます 笑
これには、スマホ中毒と化した現代人への風刺の意味もありそうですね。
確かに多いですよね…スマホゾンビ 笑
ロメロリスペクト
インタビューによると、ジムは本作の脚本に取りかかるまでの数年間、ありとあらゆるゾンビ&ホラー映画を観まくったと語っています。
ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」や「ゾンビ」をはじめとして、古典や流行りもの、近年の韓国映画などまで観まくったとか。
本作では墓場から蘇ったゾンビが民家や街を襲う構成で、これは完全にナイト・オブ・ザ・リビングデッドのオマージュですね。
セレーナ・ゴメスたちの乗る1968年型のパルメットグリーンのポンティアック・ルマンも、ナイト・オブ・ザ〜の冒頭でヒロインのバーバラが乗っていたものと全く一緒。
ゾンビのメイクも、近年の大真面目なものでなく、古典のシンプルさを参考にしているそうです。
主題歌『THE DEAD DON’T DIE』
「死者は死なない 人並み以上には」という、人を食ったような一節で始まるこの主題歌が、劇中で幾度となく流れます。
曲調はベーシックなカントリーで、歌詞とは真逆ののどかで朴訥とした秀逸な曲に仕上がっています。
この曲を書いたのは、グラミー賞受賞歴をもつスタージル・シンプソン
劇中でも実名が登場します。
ジムが彼の大ファンで、脚本を送って書き下ろしてもらったものなんです。
まとめ…ジム・ジャームッシュが楽しんで作ったオフビート・ゾンビコメディ
いかがだったでしょうか。
ジャンル映画の枠組を壊しまくってきたジムですが、本作ではゾンビ映画を見事にぶっ壊しにきました。
まとめとしてこの映画のキモ、楽しみ方を改めて考えるに、「ゾンビ・アポカリプス的世界における、名優たちの間抜けな会話劇を楽しむ」というのが正解な気がします。
ジムも、気心の知れた仲間たちと、そういう映画が作りたかったんじゃないでしょうか。
同じくゾンビコメディとして燦然と輝く名作「ゾンビランド」シリーズ(ビル・マーレイも出演しています)が正統派コメディであるとするなら、
本作は異端のオフビート(それも、かなり行き過ぎた)・ゾンビコメディ。
観る前には想像できませんでしたが、観終わってみればいかにもジム・ジャームッシュらしい作品に仕上がっていました。
映画って、本当に良いものですね♪では今回はこの辺で。バイキュー☆